会計士とアナリストの視点でみる！ 財務分析マニュアル

Ⅰ部の会計士による財務指標の解説は一般的な範囲ですが、実際の財務諸表から具体例を計算しているところが良いですね。連結主体ですが、米国会計基準、IFRS基準の変更などによる違いの解説などもあれば、より良くなると思います。Ⅱ部は財務分析の実践的な内容ですが、具体的な解説であれば社名を表記していただくと、よりわかりやすいかもしれませんね。特に、ROEの分解による売上高利益率と資産回転率の分析は、特別なことではありませんが、わかりやすい例だと思います。Ⅲ部の業界分析は、それだけで１冊の本にしていただける分野かと思いますが、そこまで期待することは難しいのでしょうか。また、Ⅳは、各社のIRサイトが決算短信や有価証券報告書を掲載している状況で、わざわざXBRLでダウンロードする発想が良くわかりません。数値の入力が手間であれば、データベースの利用なども企業ユーザーであれば比較的簡単かもしれません。いずれにせよ、監査法人がアナリストとのコラボレーションで、こうした書籍を出版されたことを星４つで評価します。