世界の大富豪2000人がこっそり教えてくれたこと (王様文庫)

時間を守る、お金に対する姿勢等々、基本的なところに異論はないが、自己啓発書ではたいてい書かれている、ありきたりな内容でした。大富豪は、自分だけの食事はこだわらずにコンビニなどで済ませると書きながら、あとのほうでは、食事は健康に気を使っていると書いてあったり、細かい雑用は人に任せて時間を有効活用と書きながら、あとのほうでは、新しい発見のためには、身の回りのことを自分ですることも大事と書いてある。一事が万事この調子で、お金を払って読むほどの価値は見いだせなかった。（プライム読み放題で無料だったけれど…）それどころか、読書に費やした時間を返してほしいとすら思った。とある大富豪が人に買い物を頼んで、買ってきてくれた人が自分のポイントカードに１万円つけたことに激怒するくだりは、とうてい人格者とは思えない。ギブアンドテイクだとか、時は金なり的なことを重要視するなら、他人が時間を使って代わりに買い物をしてきてくれたなら、ポイントくらい気前よく上げるべきじゃないかと、読んでいて不愉快に思った。さらに、店のメニューどおりにソーセージを４本持ってきた店員に、客は５人なのになぜ４本なのかと怒る大富豪もいて、ある意味、こういった偏屈さや、極端に利己的なところが、大富豪になるための本当の秘訣なのではないかと思った。人間関係について書かれているが、あくまでも家族や友人に関してのもので、関わりたくないタイプの人間、どうでもいい下々の人間に対しては、「人のかたちをした、自分とは別の生き物」くらいの感覚なのが透けて見える。著者のように大富豪を礼賛している人が人格に惹かれているとは思えず、それこそ金がなくなった時、人脈が雲散霧消するのではないか。