これなら通じる技術英語ライティングの基本

仕事で英訳をすると、依頼者から「誤訳」「訳抜け」とクレームが出ないよう出来るだけ直訳しようとする一方で、気の利いたネイティブ風のフレーズを無理に使って、本当に読み手に正しく理解されているかは二の次になりがち。本書は、現在世界中で英語を日常的に使う人の8割に当たる非ネイティブを含めた10割に通じる「簡単で正しい」英語を目指せという。日本語の原文の段階で、情報をスッキリと整理し（最小限主義）、あいまいな表現を具体的な情報に変える（具体化主義）。英語は、強い動詞（動詞主義）を、文法が簡単な能動態（能動態主義）で使用する。これを心がけるだけでも、自分の英語が劇的に変わるのではないかと思えてきた。また読み手が誤解する可能性をなくすことにポイントを絞って英文法と表記法も解説している。長年技術翻訳を手掛けてきた筆者の知恵が随所に散りばめられているが、この手の本にはめずらしく、イラスト入り、ストーリー仕立てで、堅苦しくないところも良い。本書の内容を身につければ、日英翻訳がもう少し楽しく、もう少し自信を持って取り組めるようになるのではないだろうか。