「戦場にかける橋」のウソと真実 (岩波ブックレット)

2014年4月より日本公開された、映画『レイルウェイ 運命の旅路』で、実在した日本人通訳・永瀬隆として登場する、著者・永瀬氏の「体験記」です。この本、残念ながら絶版になっていて容易に入手できないですがツイッター上、『「レイルウェイ 運命の旅路」 永瀬隆』に、有益な情報があるようです。その当事者の視点から見た、大きな犠牲者が、遺体の埋葬先、身元不明多数の東南アジア人・「ロームシャ」で（旧植民地住民だったため）、戦後現地で会った残留者に関する記述は、映画を観たなかでは主な登場人物として描かれていないこともあり、特に読む価値がある箇所と感じました。連合軍捕虜にだけ戦後、和解を考えていただけなく、失われた人間ひとりひとりの命と人生に対する、深い気持ちが伝わってきます。何事も人それぞれに、価値観・歴史観が異なるので、永瀬氏の記述に納得いかない方もいるかも知れないですが、「恒久平和を祈念」するということに異を唱えることもないはずですので、素直に受け止めたほうが、未来志向でよいと思います。