ファインマン物理学〈1〉力学

浪人時代に物理が苦手なくせにファインマン先生を知り、ファインマン物理学をいつか読破したいと思って大学に入り、電気科にもかかわらず、学生時代にI、III巻を読み、卒業してから全巻制覇しました。ファインマン先生は、生徒が理論物理学者になるのを前提として講義をしたそうです。しかし、ファインマン物理学は、講義形式ということもありますが、普通の物理の教科書とはまるで違っています。ファインマン先生から常に語りかけがあり、生徒が物理学に抱いている夢を壊さないように、量子力学的なものの考え方がちりばめられています。内容は大学１，２年生レベルであり、数式も少ないのですが、理解するにはかなりの力がいると考えます。しかし、ファインマン先生は、最も優秀な学生でも完全にはわからないところがあり、全くついていけない学生にも大切なところがわかるように話をしたとおっしゃっています。何よりもわからないところは飛ばしてしまえばいいので、読んでいてかなり面白いです。I巻では、潮の干満が起きる理由、特殊相対性理論で時計が遅れる理由などが特に面白く、感動したところです。さすがに高校生には勧められませんが、大学生以上で、物理学に対して拒絶反応を起こしている人、もちろん物理好きの人に、I巻だけでも読んでもらいたい本です。私は、和書を３回、原書を１回読みましたが、いつも新鮮な気持ちにさせられ、物理って難しいけど面白いものだなと感じさせてくれました。ちなみに、原書は１回しか読んでいませんが、訳者の先生方が苦労して翻訳していらしゃいますし、訳もかなり正確なので、あえて原書で読む必要はないと考えます。